教育費の平均はいくら?幼稚園から大学までの総額と貯め方
2024.02.16

教育費の平均はいくら?幼稚園から大学までの総額と貯め方

<この記事を読んでわかること>

・子どもの教育費はおよそ800万円〜3300万円。公立か私立か、文系か理系か、下宿するかしないかなどにより大きく異なる
・私立だと教育費は上がるが、幼稚園や高校などでは条件を満たすと補助金が出る場合もある
・教育費は、高校までは家計の中で対応し、大学入学前までに300万〜500万円を貯めておきたい。先取り貯蓄、児童手当、新NISAなどを活用して貯めよう


子どもの成長は楽しみなもの。子どもの明るい将来に向かって、必要な勉強や習い事であればいくらでもさせてあげたい、と思う方は多いでしょう。しかし同時に、教育費がいくらかかるのか、気になる方も多いはずです。教育費は、住宅費、老後の費用と並んで「人生の三大費用」と呼ばれる費用ですから、いくらかかるかが気になりますよね。

今回は、さまざまなデータをもとに、子どもにかかる教育費の平均や補助制度、教育費の貯め方についてお話しします。

 

 

子どもの教育費は進路によって大きく変わる

子どもの教育費は、どのような進路をとるかによって大きく変わります。

幼稚園から大学までにかかる教育費の平均額

058_1mg_02

文部科学省「子供の学習費調査」(2021年)、「私立大学等入学者に係る学生納付金等調査結果について」(2023年)、全国大学生協連「第58回学生生活実態調査」(2023年)より (株)Money&You作成

上の表は、幼稚園から高校までが公立か私立か、大学が国立か私立の文系・理系かでかかる教育費の平均額をまとめた表です。また、大学が私立理系で、子どもが下宿した場合の費用合計も記しています。たとえば、幼稚園は私立、小学校から高校までは公立、大学は私立文系だった場合、教育費の合計は1,031万円、というわけです。

 

教育費がもっとも安いのは、幼稚園から大学まですべて公立に通った場合で819万円です。反対に教育費がもっとも高いのは、幼稚園から高校まですべて私立、大学も私立理系で下宿した場合で3,276万円となっています。

しかも、教育費はこれが1人分ですから、きょうだいがいる場合は2人分・3人分と、人数分かかります。もちろん、すべてを一度に払うわけではありませんが、さすがは三大費用のひとつ、結構な出費になります。
 

私立だと教育費はアップする

公立と私立では、私立の方がたくさんのお金がかかることは、誰もが想像できますよね。ただ、そのすべてを自分で用意しなくてはならないわけでもありません。以下、学校別にポイントを紹介します。

幼稚園

幼稚園の費用は公立で50万円、私立で93万円となっていますが、2019年10月にスタートした「幼児教育・保育の無償化」によって、幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳児クラスの子どもたちの利用料が無償化されています。さらに、住民税非課税世帯については0歳から2歳までの利用料も無償になります。

ただ「無償化」といっても、助成される金額の上限は、幼稚園・認可保育所・認定こども園等で月額2万5,700円、認可外保育施設等で月額3万7,000円までとなっています。公立であればこの範囲で収まるものの、私立の場合は収まらないケースも多いようです。もちろん、これらを超えた分は自己負担になります。また、給食費や教材費、制服代などは無償化の対象外になっていることにも注意が必要です。

小学校

上の表のとおり、公立と私立の差がもっとも大きいのは小学校です。しかし、私立の小学校に通っている子どもは全体の1.3%(文部科学省「学校基本調査」(2023年)より計算)とわずか。ほとんどの場合、小学校は公立なので、教育費もあまりかからずに済みます。私立の小学校に通わせたいのならば、早い段階で教育費を工面する必要があります。

中学校

首都圏を中心に、私立中学に通わせる家庭が増えています。東京都教育委員会「令和5年度公立学校統計調査報告書」によると、2023年の東京都の公立小学校の卒業生のうち、都内の私立中学に進学した生徒の割合は19.8%となっています。

 

中学受験をする場合、子どもは塾に通うのが一般的です。しかし、文部科学省の資料には中学受験の費用が含まれていません。大手塾の資料をもとに試算すると、中学受験をするための塾代はトータルでおよそ250万円。さらに、中学受験の受験料や「延納金制度」(本命校の合格発表まで入学手続きを待ってもらう制度)などの利用も考えると、トータルで300万円程度はかかるでしょう。

そうして私立中に入学しても、公立の約2.7倍もの学費がかかります。次に紹介する高校の費用とは違い、基本的に補助金もない点には注意が必要です。

ただし、東京都では、2024年度から所得制限なしで、私立中学の授業料を年10万円まで助成する予定です。

高校

高校の費用は中学より少なめといっても、公立高校と私立高校では2倍ほどの差が。しかし、高校の費用は「高等学校等就学支援金」による補助があります。公立高校に通う場合は年11万8,800円(年収目安910万円)、私立高校に通う場合は年39万6000円(年収目安590万円未満)・年11万8,800円(年収目安590万〜910万円)を上限に授業料のサポートが受けられます。

ただし、目安の年収が910万円を超えると、高等学校等就学支援金の対象外になってしまいます(年収の目安は家族の人数や働いている人の数などにより変わります)。

なお、東京都は2024年度から、都内在住の高校生については所得制限なく授業料を支給することを発表。高校授業料が実質無料化されます。他の道府県にもこうした動きが広がるとよいですね。

大学

ここまででも教育費が相当かかってきましたが、教育費のピークは「大学進学」です。上の表のとおり、大学の学費は、国立でも4年間で約243万円、私立では文系で約411万円、理系で約542万円となっています。大学の費用は、半年ごとにまとまった金額を納付する必要があるため、入学前までに300万〜500万円を貯めなくてはなりません。

 

さらに、大学には下宿して通う人もいるでしょう。全国大学生協連「第58回学生生活実態調査」(2023年)によると、毎月の下宿生の支出は12万3,630円となっています。単純にこれだけの金額が4年間かかったとすると、総額は600万円近くになってしまいます。

なお、2025年度から、3人以上の子どものいる世帯の大学授業料や入学金が無償化される方針です。教育費のピークは大学で、4年間で数百万円かかります。ですから、大学授業料の無償化が実現すれば家計の大きな助けになるでしょう。

ただし、「3人目」のカウントには注意が必要です。本稿執筆時点(2024年1月12日)にはまだ決まっていませんが、子どもとしてカウントするのは「22歳の年度末を迎える子ども」までとする案が出ています。もしこの案に決まった場合、3人きょうだいの1人目の大学授業料が無償化されても、この1人目が22歳の年度末を迎えた場合は、2人目・3人目は大学無償化の対象になりません。

 

教育費はどうやって用意する?

教育費は、高校までは家計のなかで対応しつつ、大学入学前までに300万〜500万円を貯めておきたいところです。

 

教育費に限らず、貯蓄の基本は「先取り貯蓄」です。先に貯める金額を取り分け、残ったお金で生活することで、確実にお金を貯めます。給与天引きでお金を貯める「財形貯蓄」や、銀行の普通預金口座から定期預金口座に毎月一定額を積み立てる「自動積立定期預金」など、自動的・強制的にお金を貯める仕組みを活用すると、手間もありません。

 

また、児童手当を使わずに貯めるのもよいでしょう。2024年10月からの改正によって、高校卒業まで児童手当が支給されるようになります。改正後は、生まれてから18歳まで児童手当を一切使わずに貯めると230万円ほどになります。

 

さらに、子どもの大学入学まで時間があるのであれば、資産運用も取り入れましょう。投資の王道は「長期」「積立」「分散」投資。リスクを抑えながらリターンを得ることを目指します。詳しくは、以前の記事でも紹介しています。

 

また、投資で優先的に活用したいのが2024年に改正された新NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)です。NISAを利用すると、投資で得られた利益にかかる20.315%の税金がゼロにできるので、お金をより効率よく増やせますし、利益を再度投資に回すことで複利効果も得られます。こちらも以前の記事で紹介していますので、合わせてご覧ください。

 

教育費はどのような進路をとるかによって変わります。我が子にどのような教育を受けさせるのかを考え、早めに用意することが大切です。今回紹介した先取り貯蓄、児童手当の貯蓄、そして新NISAなどにぜひ取り組み、教育費を確保していきましょう。

高山 一恵

高山 一恵(たかやま かずえ)

Money&You 取締役/ファイナンシャルプランナー
慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設⽴。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を⾏ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。著書は『はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂)、『税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)など多数。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。

あなたの理想のプランが見つかる!
イオンアリアンツ生命の

元気パスポート無解約返戻金型終身医療保険
毎年、健康診断提出で500WAONポイント 条件を満たせば健康支援金もゲット!
あなたの保険料はいくら?今すぐ無料お見積もり 保険料シミュレーション
ライフ別おすすめプランを見る ライフ別おすすめプランを見る
  • 口座振込の場合は300円になります。ご契約者さま向けサービスであるため、将来予告なく変更または中止される場合があります。
  • 健康支援金の支払は20歳から69歳までとなり、主契約の保障が継続されている場合でも70歳以降の支払はありません。