iDeCoと新NISAはどっちから始めるべき?
2023.10.06

iDeCoと新NISAはどっちから始めるべき?

【この記事を読んでわかること】

  • iDeCoも新NISAも節税しながらお金を貯められる制度
  • 新NISAから始めた方がよい人は「老後資金以外を貯めたい人」「毎月の投資額が少ない人」「万が一の時にお金を引き出したい人」「60代以降で投資を始めたい人」
  • iDeCoから始めた方がよい人は「老後資金を貯めたい人」「所得のある人」「毎月1万円以上投資できる人」
  • 投資できる金額が多いならiDeCoと新NISAの併用がベスト

「自分年金」をお得に用意できるiDeCoと2024年に制度が大きく改正される話題の新NISA。どちらもできるだけ利用したいおすすめの制度ですが、投資できるお金が限られている方もいるでしょう。その場合、どちらを優先すべきなのでしょうか。今回は、iDeCoと新NISAの制度を比較した上で、iDeCo・新NISAを併用した方がよい人の条件を解説します。

iDeCoと新NISAの制度をおさらい

まずはiDeCoと新NISAの制度をチェックしておきましょう。

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)

iDeCoは、自分で毎月積み立てた掛金を運用し、その成果を原則60歳以降に一時金または年金の形で受け取る制度。国の公的年金には国民年金と厚生年金の2つがありますが、それだけでは老後の生活費を十分にまかなうことはできません。iDeCoを活用することで、公的年金の上乗せ、老後の「自分年金」がお得に作れるというわけです。

 

iDeCoのメリットは、掛金の「拠出時」「運用時」「給付時」の3つのタイミングで税制優遇が受けられることにあります。

 

・拠出時:毎月の掛金が全額所得控除できるため、所得税や住民税を減らせる

・運用時:運用で得られた利益に税金(20.315%)がかからない

・給付時:一時金で受け取ると「退職所得控除」、年金で受け取ると「公的年金等控除」が使えて税金の負担を軽くできる

 

iDeCoの制度の詳細については、こちらの記事①記事②でも説明していますので、ぜひご覧ください。

NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)

NISAは、投資の利益にかかる税金を非課税にできる制度。iDeCoの「運用時」と同じ効果がある制度です。

 

2023年までのNISAには、一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAの3種類があり、非課税にできる金額や投資できる商品、利用できる人などに違いがあります。しかし、2024年から新NISAが始まることにより、一般NISA、つみたてNISAにおける新規の投資は2023年12月末を持って終了。ジュニアNISAは、2023年12末で廃止になります。

 

2024年からの「新NISA」は、現行のつみたてNISAと一般NISAを合わせたような制度になります。いつでも投資がスタートでき、無期限で非課税にできます。そのうえ、毎年投資できる金額(年間投資枠)が大きく増加。つみたてNISA同様の「つみたて投資枠」で年120万円、一般NISA同様の「成長投資枠」で年240万円、合計年360万円まで投資できるようになります。

 

新NISAについても、詳細は以前の記事で取り上げておりますので、ぜひチェックしてみてください。

iDeCoと新NISAの制度を比較してみよう

iDeCoと新NISA、どちらから始めるかを考えるにあたって、両制度を比較しておきましょう。

iDeCoと新NISAの主な違い

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(株)Money&You作成



赤字の部分が有利と思われるポイントです。簡単に説明します。

①利用できる人・投資できる期間

iDeCoで掛金を積み立てることができるのは、原則20歳から65歳未満までの方(60歳以降もiDeCoに加入できるのは会社員・公務員・国民年金の任意加入者のみ)となっています。65歳(60歳)を過ぎると新たに掛金を出すことができなくなりますが、資産を受け取るまでは非課税で運用ができます。

 

一方の新NISAは18歳以上(厳密には、その年の1月1日時点で18歳以上)であれば、誰でも利用できるうえ、無期限で非課税です。ですから、より多くの人が利用しやすいのは新NISAですね。

②投資できる商品

iDeCoでは、投資信託・定期預金・保険で運用を行います。

 

対する新NISAのつみたて投資枠では、金融庁の定める基準を満たしたおよそ200本の投資信託・ETF(上場投資信託)に積立投資できます。また、成長投資枠では国内外の株・ETF・REIT(不動産投資信託)・投資信託に投資ができます。

 

投資できる商品の種類や数は新NISAのほうが多いのですが、中には元本確保型の定期預金や保険がよい方もいるでしょう。そのような方はiDeCoがおすすめです。

③税制優遇

iDeCoでは、拠出した掛金が全額所得控除の対象になるので、毎年の所得税や住民税が安くできます。新NISAにはこのような全額所得控除の税制優遇はありませんので、iDeCoのほうが有利です。

④資産の引き出し

新NISAの資産は、いつでも自由に引き出せます。一方、iDeCoの資産は原則として60歳になるまで引き出せません。老後のお金を確実に用意できるメリットでもあるのですが、何か急なことでお金が必要になっても、iDeCoのお金は引き出せません。新NISAのほうが、自由度は高いでしょう。

⑤最低拠出額と手数料

新NISAの最低投資金額は金融機関によって多少異なりますが、1,000円程度のところが多くなっています。口座開設手数料や口座管理手数料といった手数料も無料です。

 

対するiDeCoの最低拠出額は月額5,000円から。そのうえ、どの金融機関を使ったとしても口座開設時に2,829円、毎月171円(年2,052円)の手数料が必ずかかります。さらに、金融機関によってはそれに加えて月数百円の運営管理手数料がかかる場合もあります。費用が抑えられるのは、新NISAです。

iDeCoと新NISA、どっちから始める?

以上を踏まえて、iDeCoと新NISAのどちらから始めるのがよいのかを考えてみましょう。

iDeCoと新NISA、より多くの人が始めやすいのは新NISAですよね。そこで、先に新NISAから始めた方がよい人を紹介します。

新NISAから始めた方がよい人

・老後資金以外を貯めたい人

住宅資金・教育資金・余暇資金など、老後資金以外のお金を貯めたいのであれば、新NISAがおすすめです。ライフイベントが訪れた際に、必要な分だけ解約してお金をそれらの目的に使うことができます。また、新NISAではいったん解約しても非課税投資枠を再利用できますので、ライフイベントに合わせて利用しやすくなっています。

・毎月の投資額が少ない人

新NISAは、多くの金融機関で1,000円からスタートできます。今はまとまったお金を用意することが難しい…という方でも、1,000円程度であれば、始めやすいでしょう。まずは少額から投資をスタートし、お金に余裕が出てきたら積立金額を増やす、といったことも簡単です。

・万が一の時に、お金を引き出したい人

新NISAは、いつでも自分の好きなタイミングで積み立てた資産や運用益を引き出すことができます。突然まとまったお金が必要になった場面でも、新NISAならば引き出して対応ができます。

・60代以降で投資を始めたい人

iDeCoと違い、新NISAには年齢制限がありませんので、60代でもスタートできます。人生100年時代とも呼ばれる今、60代はまだまだ資産形成期です。新NISAに取り組むことで、お金をじっくりと増やすことができるでしょう。

 

iDeCoから始めた方がよい人は、「新NISAから始めた方がよい人」の裏返しのようになってしまうのですが、次のような人です。

iDeCoから始めた方がよい人

・老後資金を貯めたい人

老後資金を貯めるために資産運用をスタートするならば、iDeCoを活用した方がよいでしょう。iDeCoは、基本的に60歳まで引き出すことができませんが、前向きに捉えると、強制的に老後資金を作ることができるとも言えます。

・所得のある人

掛金の全額所得控除の恩恵が受けられる人は、あくまで所得があって、所得税を支払っている人です。支払う税金があるのであれば、iDeCoを利用することで所得控除のメリットを受けられます。また、所得が高いほど、節税の恩恵は大きいでしょう。

・毎月1万円以上投資できる人

iDeCoは、口座開設手数料や口座管理手数料といった手数料がどうしてもかかります。そのため、投資額が少ない場合は、投資額に占める手数料の割合が大きくなってしまい投資効率が悪くなってしまいます。少なくとも、1万円以上投資できるならばiDeCoを検討してもよいでしょう。

投資できるお金があれば「併用」がベスト

毎月10万円、15万円、20万円…などと、投資資金に余裕があるならば、iDeCoをフル活用したうえで、新NISAもできるだけ併用しましょう。

 

毎月多額の投資ができるということは、毎月の収入も多く、所得税も高いはずです。所得税の税率は所得によって5%から45%まで7段階。iDeCoの全額所得控除の恩恵は、所得税が高いほど大きくなります。

 

たとえば、所得税の税率が5%(住民税率は一律10%)の人が毎月2.3万円(年27.6万円)iDeCoの掛金を積み立てた場合の節税額は、

27.6万円×(5%+10%)=4万1,400円

となります。

 

このとき、もし所得税の税率が20%だったら、節税額は

27.6万円×(20%+10%)=8万2,800円

と、所得税率が5%の場合の倍になります。

 

しかも、iDeCoの掛金を出し続ける限り、毎年節税ができますので、iDeCoも併用したほうが得、というわけです。仮に30年iDeCoの掛金を出し続けたら、合計124.2万円(所得税率5%+住民税率10%)、248.4万円(所得税率20%+住民税率10%)もの節税ができるのですから、大きいですよね。

たとえば毎月10万円投資できるなら、「iDeCo2.3万円+新NISA7.7万円」という具合に併用するほうがよいでしょう。

iDeCoも新NISAも、税制優遇の恩恵を受けながら安定的にお金を増やせる可能性が高い制度です。今回の記事を参考していただき、まずは、自分に合った方から始めてみましょう。長く取り組み、お金を増やしていくには、「早く始める」ことが何より大切。なるべく早くスタートできるよう、準備しましょう。

高山 一恵

高山 一恵(たかやま かずえ)

Money&You 取締役/ファイナンシャルプランナー
慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設⽴。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を⾏ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。著書は『はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂)、『税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)など多数。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。

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