iDeCoと企業型確定拠出年金の併用が簡単に!併用したほうがいい人、しないほうがいい人、注意点は?
2023.01.20

iDeCoと企業型確定拠出年金の併用が簡単に!
併用したほうがいい人、しないほうがいい人、注意点は?

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は2022年、さまざまな制度改正がありました。なかでも2022年10月から、iDeCoと企業型確定拠出年金(企業型DC)の併用が簡単になったことで、iDeCoと企業型DCを併用する方も増えると見込まれます。

今回は、iDeCoと企業型DCを併用するメリット・デメリット、iDeCoを併用したほうがいい人、iDeCoの手続きまで解説します。

iDeCoと企業型DCが併用しやすくなった!

iDeCoも企業型DCも、自分で掛金を運用して、その成果を老後にもらう制度です。しかし、両制度には細かな違いがあります。

iDeCoと企業型DCの違い

個人型確定拠出年金(iDeCo) 企業型確定拠出年金(企業型DC)
加入者 国民年金保険料を納めている人
(加入は任意)
制度を導入している会社の従業員
(基本的に全員加入)
掛金の拠出者 加入者 会社
(「マッチング拠出」では加入者も一緒に拠出)
毎月の掛金の上限 ・自営業者など 月68,000円
・会社員 月12,000円〜23,000円
 (他の企業年金制度の有無で異なる)
・公務員 月12,000円
・専業主婦(主夫) 月23,000円
月27,500円または55,000円
(他の企業年金制度の有無で異なる)
加入できる年齢の上限 65歳未満まで 70歳未満まで
(会社により異なる場合あり)
運用商品 自分で選んだ金融機関の
定期預金・保険・投資信託
会社が利用している金融機関の
定期預金・保険・投資信託
運用方法 加入者が決める 加入者が決める
運営にかかる手数料 個人が負担 会社が負担

(株)Money&You作成



iDeCoと企業型DCの大きな違いは、掛金の拠出者です。iDeCoは自分で掛金を出すのに対し、企業型DCは会社が掛金を出してくれます。その他、掛金の上限や加入できる年齢の条件にも違いがありますが、定期預金・保険・投資信託でコツコツと運用に取り組み、将来の資産を用意する点は同じです。

 

なお、iDeCoについては以前の記事で詳しく解説しておりますので、合わせてご覧ください。

 

iDeCoと企業型DCは、これまでも併用が可能でした。しかし実際に併用するには、企業型DCの規約内に「iDeCoが併用できる」といった記載をする必要があったのです。そうした規約がないために、事実上加入できない人が約750万人もいたとされています。


しかし、2022年10月から、規約への記載がなくても企業型DC加入者がiDeCoに加入できるようになったのです。

 

iDeCoと企業型DCを併用するには、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。

iDeCoと企業型DCを併用する条件1:掛金が「各月拠出」

iDeCo・企業型DCの掛金の支払い方法には、毎月1回支払う「各月拠出」と、年1回以上の任意の月にまとめて支払う「年単位拠出」があります。iDeCoと企業型DCを併用するには、「各月拠出」でなくてはなりません。

iDeCoと企業型DCを併用する条件2:企業型DCの掛金額+iDeCoの掛金額=月額5.5万円(2.75万円)以下

企業年金が企業型DCのみの場合、企業型DCの掛金額の上限は月額5.5万円、iDeCoの掛金額は5.5万円から企業型DCの掛金額を引いた金額で、上限は月額2万円です。つまり、企業型DCの掛金額+iDeCoの掛金額=月額5.5万円以下にする必要があります。

 

企業型DCに加えて他の企業年金にも加入している場合は、企業型DCの掛金額の上限は月額2.75万円、iDeCoの掛金額は2.75万円から企業型DCの掛金額を引いた金額で、上限は月額1.2万円です。そして、企業型DCの掛金額+iDeCoの掛金額=月額2.75万円以下にする必要があります。

iDeCoと企業型DCを併用する条件3:企業型DCの「マッチング拠出」を利用していない

会社が拠出する企業型DCの掛金に自分で掛金を上乗せする「マッチング拠出」は、iDeCoと併用できません。すでにマッチング拠出を利用している人は、マッチング拠出の停止手続きを行ってから、iDeCoに加入します。マッチング拠出はいつでも停止することができますが、詳しい手続きは勤務先の所管部署に確認しましょう。

iDeCoと企業型DCを併用する3つのメリット

iDeCoと企業型DCを併用するメリットは、大きく3つあります。

iDeCoと企業型DCを併用するメリット1:節税効果を生かして老後資金を手厚く用意できる

iDeCoと企業型DCを併用することで、老後資金を手厚く用意できます。企業型DCの掛金が少なくても、iDeCoを併用することで老後にもらえる金額を増やす効果が期待できます。また、iDeCoでは、マッチング拠出と同様、掛金を出すとき・運用しているとき・年金を受け取るときにそれぞれ節税の効果が得られます。

iDeCoと企業型DCを併用するメリット2:幅広い商品から自由に選択できる

企業型DCの金融機関は会社が決めます。そのため、自分が投資したい商品を扱っていない可能性もあります。しかし、iDeCoの金融機関は自分で決められます。自分が投資したい商品を扱っている金融機関でiDeCoをスタートすれば、iDeCoでの非課税の投資が可能です。

iDeCoと企業型DCを併用するメリット3:拠出可能な枠を有効活用できる

これまでも、企業型DCの掛金額が月5.5万円未満の場合、マッチング拠出によって、掛金を増やすことができました。しかし、マッチング拠出で本人が上乗せできる掛金の上限は、会社の掛金額を上回ることはできません。

 

たとえば、会社の掛金が仮に月5,000円であれば、マッチング拠出で本人が拠出できる金額も月5,000円まで。この場合、いくら企業型DCの掛金の上限額が月55,000円だといっても、マッチング拠出では合計で月1万円までしか拠出できません。


しかし、iDeCoならば会社の掛金がいくらであろうと2万円(企業型DC以外の企業年金がある場合は1.2万円)まで本人が上乗せで拠出できるので、拠出可能な枠を有効活用できます。

 

なお、会社の掛金が月2万円(企業型DC以外の企業年金がある場合は月1.2万円)を超える場合は、iDeCoよりもマッチング拠出を利用したほうが掛金額を多くできます。自分が投資したい商品が企業型DCにあり、マッチング拠出でiDeCoよりも掛金額を多くできるという場合は、マッチング拠出を利用したほうが得です。しかし、それ以外の場合は、iDeCoを利用したほうがいいでしょう。

iDeCoには手数料がかかる注意点も…

iDeCoはメリットの多い制度ではあるのですが、手数料がかかる点には要注意。企業型DCでは口座管理手数料の負担はありませんが、iDeCoではどの金融機関を使ったとしても口座開設時に2,829円、毎月171円(年2,052円)は必ずかかります。さらに、金融機関によってはそれに加えて月数百円の運営管理手数料がかかる場合もあります。注意点として押さえておきましょう。

iDeCoを併用した方がいいのはどんな人?

企業型DCに加えて、iDeCoを併用した方がいいのは、前述のとおり、企業型DCでの会社の掛金が少ない人です。

 

企業年金連合会「確定拠出年金実態調査結果(概要)」(2020年度)によると、加入者掛金(月額)の平均は、拠出限度額が5.5万円の企業で月8,216円、2.75万円の企業で月5,779円となっています。iDeCoを利用すれば、これよりも多い2万円(1.2万円)まで掛金を出すことができる分、老後資金を手厚く用意できることにつながります。

 

将来、会社の掛金が2万円(1.2万円)を超えてくるようであれば、iDeCoから企業型DCに資産を移管して、企業型DCに資産を一本化するのもおすすめです。企業型DCでは手数料がかからない(会社負担)ので、より効率よくお金を貯めることができます。

 

また、企業型DCの金融機関や、その金融機関の商品がイマイチという場合も、iDeCoの併用がおすすめ。iDeCoなら、自分で好きな金融機関、好きな商品を扱う金融機関を選んで運用ができます。

 

逆に、

・家計が厳しい人

・借金がある人

・年収が下がる見込みの人

・数年以内に使うお金を貯める必要がある人

などは、無理にiDeCoを利用するよりお金を貯めることを優先しましょう。iDeCoの資産は原則60歳まで引き出せませんので、お金が急に必要になった場合に対応できないからです。

iDeCoの手続きはどうしたらいい?

iDeCoを始めるには、金融機関(運営管理機関)に資料請求をし、口座を開設する必要があります。まずは金融機関のウェブサイトやコールセンターで資料請求をしましょう。案内にしたがって操作・返答をすれば問題ありません。

 

そして、後日届く資料の中にある

・個人型年金加入申出書

・事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書

に記入し、本人確認書類等とともに返送します。

 

「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」は、会社員・公務員が申し込む際に必要な書類です。この書類には、勤め先の会社の記入欄があるので、総務部や経理部などの主管部署に提出して記入押印をしてもらいましょう。

 

口座が開設できたら、運用する商品の配分指定を行い申し込みます。これで、あとは自分が決めたルールにしたがって投資が実行されます。

 

iDeCoの一連の手続きが完了するまでには、おおよそ1カ月~2カ月程度かかります。ですから、なるべく早いうちに手続きをしておくのがおすすめです。早く手続きして、早くスタートすれば、その分長く運用できることにもつながります。

 

iDeCoと企業型DCを併用することによって、老後資金を手厚く用意できます。ぜひ併用して、賢く老後に備えましょう。

頼藤 太希

頼藤 太希(よりふじ たいき)

経済ジャーナリスト
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し、現職。WEBメディア「Mocha」やYouTub「Money&YouTV」を運営。『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書累計100万部超。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。

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