
引受基準緩和型保険とは?入るべき?メリット・デメリットや選び方
<この記事を読んでわかること>
・引受基準緩和型保険は通常の保険よりも加入の条件がやさしい保険
・引受基準緩和型保険は告知項目が2〜5つ程度と、通常の保険よりも少ない
・引受基準緩和型保険は、通常の保険の加入を断られてしまったものの、もしものときの保障を用意したい人に向いている
「医療保険に入りたいけれど、持病があるから入れない」と考えている人はいませんか。持病や既往症がある場合、医療保険に申し込んでも加入を断られてしまう場合があります。しかし、それでも保険でもしものときの保障を用意したい!というときに検討したいのが「引受基準緩和型保険」です。
今回はそもそも引受基準緩和型保険とはどんな保険なのか、引受基準緩和型保険のメリット・デメリット、引受基準緩和型保険に入ったほうがいい人を紹介します。
そもそも引受基準緩和型保険とは?
引受基準緩和型保険は、通常の保険よりも加入条件がやさしい保険です。保険の加入条件のことを「引受基準」といいます。これがやさしい(=緩和されている)ことから、引受基準緩和型保険と呼ばれています。
医療保険に加入するときには「告知」といって、保険の保障の対象となる人(被保険者)の健康状態やこれまでの病歴、職業などを保険会社に正しく伝えなくてはいけません。保険会社は、告知の内容をチェックして保険への加入を認めるか否かを決めます。特に問題がなければ保険に加入できますが、持病や既往症などがあるときには、保険への加入が断られてしまう場合があります。
保険への加入が断られてしまっても、その人にもしものときの保障が必要なことに変わりはないはず。保険に加入できずに困ってしまうでしょう。こんなときに活用を検討したいのが、引受基準緩和型保険というわけです。
引受基準緩和型保険のメリット
引受基準緩和型保険のメリットは、次のとおりです。
告知項目が少ない
引受基準緩和型保険は、通常の医療保険に比べて告知項目が少なくなっています。
保険会社により内容は少々異なりますが、医療保険の告知項目には、
①医師の診察・検査・治療・投薬の有無 ②病気やケガでの入院の有無 ③病気やケガでの手術の有無 ④所定の病気での医師の診察・検査・治療・投薬の有無 ⑤健康診断や人間ドックでの異常の有無 ⑥身体の障害の有無 ⑦がんや上皮内新生物の有無 ⑧(女性のみ)妊娠・分娩による異常での入院・手術の有無 ⑨(女性のみ)妊娠の有無 |
といったものがあります。多くは「過去◯か月以内」(または「過去◯年以内」「今までに」)などに当てはまるかが確認されます。こうして並べると、結構多いと思われるでしょう。
引受基準緩和型保険の場合は、告知内容が2〜5つ程度に絞られています。たとえば、イオン・アリアンツ生命「元気パスポート ワイド」の告知項目は、
①最近3カ月以内に、医師・歯科医師から入院・手術・放射線治療のいずれかをすすめられたことはありますか。 ②過去1年以内に、病気やケガで入院・手術・放射線治療・先進医療をうけたことがありますか。 |
の2つだけです。①②両方とも「いいえ」であれば、保険に申し込むことができます。そして条件を満たした場合には
・疾病入院給付金・災害入院給付金(病気・ケガで1日以上入院したときの給付金)
・手術給付金(病気・ケガで所定の手術を受けたときの給付金)
・放射線治療給付金(病気・ケガで所定の放射線治療を受けたときの給付金)
の保障を受けることができます。
また、「元気パスポート ワイド」では特約(選べるオプション)として
・引受基準緩和型先進医療特約
・引受基準緩和型入院一時給付特約
・引受基準緩和型退院後通院特約
・引受基準緩和型骨折保障特約
も用意されています。このうち「引受基準緩和型骨折保障特約」だけは
③過去1年以内に、圧迫骨折、骨粗しょう症、変形性関節症、くる病、骨軟化症で医師の診察・検査・治療・投薬をうけたことがありますか。 |
についても告知しなくてはなりませんが、それ以外は追加の告知なく申し込めます。
持病や既往症があっても加入できる
たとえ持病や既往症があっても、保険会社が告知項目に該当しなければ保険に加入することができます。
実は引受基準緩和型保険以外にも、持病があっても保険に入れるケースはあります。
たとえば「特定疾病・部位不担保」の条件をつけると、一定期間、あらかじめ定めた病気や部位については保障の対象外にすることで保険に加入できる場合があります。
ただ、万が一保障の対象外の部分で何か問題があった場合には、当然保障は得られません。引受基準緩和型保険を利用すれば、そうした不安を減らして保険に加入できるのです。
引受基準緩和型保険のデメリット
引受基準緩和型保険は通常の保険への加入が難しい人でも加入しやすい保険ですが、デメリットもあります。
通常の保険と比べ保険料は割高
引受基準緩和型保険は、通常の保険よりも告知項目が少なく、加入の条件がやさしい分、保険料は割高になります。具体的な金額は人により異なりますので、事前にシミュレーションなどで確認しましょう。
一定期間、保険金や給付金が減額される場合がある
引受基準緩和型保険のなかには、加入してから一定期間(支払削減期間)は給付金が減額されるタイプの保険もあります。たとえば、加入後1年間は本来の給付金額の50%、以後は100%となっている場合、当初1年間のうちに給付金を受け取るようなことがあった場合、本来の金額の半額しか支給されなくなります。
引受基準緩和型保険に入るべき人はどんな人?選び方のポイントは
以上を踏まえて、引受基準緩和型保険に入るべき人をまとめると、次のようになります。
入院や手術に自力で備えるのが難しいと感じる人
もしも今入院や手術をする必要が生じたとき、入院・手術中の費用や働けなくなることでの収入減にどのくらい対応できるでしょうか。貯蓄などを取り崩しても、お金が足りそうにないならば、引受基準緩和型保険に加入して保障を用意するのがよいでしょう。
持病や病歴により通常の保険に入るのが難しい人
「通常の医療保険の加入を断られてしまった」のであれば、引受基準緩和型保険への加入を検討しましょう。引受基準緩和型保険の告知項目は少ないですが、持病や病歴がその内容に当てはまらないかを確認したうえで申し込むのがよいでしょう。
無理なく保険料を支払える人
引受基準緩和型保険の保険料は、通常の医療保険よりも割高です。特約をつけると、その分保険料もアップします。それを支払っても問題なく、万が一の保障を用意したいのであれば、引受基準緩和型保険に加入するのがよいでしょう。
引受基準緩和型保険は告知項目が少ないのが特徴。過去の病気などから通常の保険に加入できなかったものの、万が一の保障を用意したいと考えるならば、ぜひ検討してみることをおすすめします。

頼藤 太希(よりふじ たいき)
マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に創業し現職。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、TBS「情報7daysニュースキャスター」などテレビ・ラジオ出演多数。主な著書に『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)など、著書累計180万部。YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。日本年金学会会員。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki