定年後にかかる意外と大きい6つの出費
2023.10.20

定年後にかかる意外と大きい6つの出費

【この記事を読んでわかること】

  • 定年後30年の生活費と医療費・介護費合わせて、夫婦で約1,800万円、シングルでも約1,300万円が用意する老後資金の目安
  • 定年後にかかる意外と大きい出費には、教育費・結婚資金の援助・孫消費・親の介護・墓じまい・リフォームなどがある。また、退職翌年の住民税にも要注意
  • かかる費用を見越して、早いうちからお金を貯めていくことが大切

定年後の生活費は年金だけでは足りない…。少し前に話題になった「老後資金2,000万円問題」のニュースなどで、そんなことを耳にした方もいるでしょう。しかし、定年後はただ生活をしていくだけではありません。ときには、大きな出費があることもあります。
今回は、定年後の生活費の目安と、定年後にかかる場合がある6つの大きな出費を紹介します。

定年後の生活費はいくらかかる?

総務省「家計調査報告」(2022年)によると、65歳以上の高齢夫婦無職世帯の1カ月の平均収入はおよそ24.6万円。それに対して、平均支出は26.8万円となっています。毎月の生活で、約2万2000円の赤字です。また、65歳以上の高齢単身無職世帯の1カ月の平均収入は約13.5万円、平均支出は約15.5万円ですから、毎月約2万円の赤字です。

 

もしも30年間この生活が続くと、高齢夫婦世帯の不足額は約800万円、高齢単身世帯の不足額は約720万円となります。家計調査報告はあくまでも統計上のデータであること、毎年数字が変わることから、すべての人にとってこの金額を用意しておこうということではありませんが、用意すべき老後資金の目安にはなるでしょう。

 

ちなみに、家計調査報告には医療費・介護費といったもしものときのお金が含まれていません。医療費・介護費は1人500万円程度見込んだとすると、夫婦で約1,800万円、シングルでも約1,300万円が用意する目安となります。

 

なお、生命保険文化センター「生活保障に関する調査」 (2022年)によると、夫婦2人で老後生活を送るために必要な「老後の最低日常生活費」の平均は月額23.2万円。これに、「老後のゆとりのための上乗せ額」を加えた「ゆとりある老後生活費」の平均額は37.9万円となっています。ゆとりある老後を送るためには、日常生活費に加えて月15万円程の上乗せがあった方が良いということは覚えておきましょう。

残っていたら要注意の6つのお金

日常生活を過ごすにも、ゆとりある老後を送るにも、お金はやはり必要。そのお金を用意することを考えて行動することはとても大切です。しかし、次のようなお金が残っていたら要注意。大きな出費によって、お金が貯めにくくなってしまうかもしれません。

残っていたら要注意のお金1:教育費の続き

人生の三大費用のひとつ、教育費。50代ごろから定年までの期間は子どもにお金がかからなくなるため「最後の貯めどき」などと言われることもあります。しかし、30代後半から40代で生まれた子どもなら、定年後も学生かもしれません。この場合、最後の貯めどきにお金を貯められないどころか、教育費が家計に重くのしかかる可能性があります。

 

大学4年間にかかる費用(入学料+4年分の授業料と施設設備費)は私立文系で約408万円、私立理系で551万円(文部科学省「令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金」より)。国立大学でも約243万円かかります(文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」より)。

 

子どもが望む進路が選べるようにしてあげたいのが親心ですが、そのためにはかなりまとまったお金が必要です。

残っていたら要注意のお金2:子どもの結婚のお祝い金

子どもが結婚するとき、お祝い金を送るケースもよくあります。相手の親がお祝い金を出すから、こちらもお祝い金を出すという場合もあるでしょう。ゼクシィ「結婚トレンド調査2022」によると、親・親族からの援助総額の平均は178.4万円となっています。単純に両家の親で折半して考えても90万円近く。結構な支出ですね。

残っていたら要注意のお金3:孫消費

意外とお金がかかっているのが「孫消費」です。かわいい孫や子どものためならば何でもしてあげたいという気持ちはわかります。でも、いくらかわいいからといってお金を出してしまうと、老後資金が一気に減ってしまい、足りなくなってしまうことも考えられます。これでは、予算をいくら立てようが、年金を増やそうが、本末転倒です。

 

ハルメク「シニア女性と孫の関係に関する意識と実態調査」によると、1年間に孫のために使ったお金の平均額は14.3万円。調査によると、お年玉や入学祝いなどのイベントだけでなく、会うたびにお小遣いや食事代などを出すケースも少なくないとのことです。1年だけならばまだしも、中には10年、20年と孫にお金を出すこともあるかもしれません。そうすると、まとまった出費になってしまいます。

残っていたら要注意のお金4:親の介護にかかる費用

親の介護にもお金がかかります。介護には介護保険が適用になりますが、それだけでは足りずに、親のために貯蓄を取り崩すこともあるかもしれません。

 

生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」によれば、介護費用は、介護用の住宅改修や介護ベッドの購入などの一時的な費用が74万円、その後も月額平均8.3万円かかるとのこと。介護期間は平均61.1カ月(5年1カ月)ですから、単純計算で約580万円にもなります。自分の介護にも同様にお金がかかります。

残っていたら要注意のお金5:墓じまい・合同墓

墓じまいは、先祖代々の墓を撤去して遺骨を別のところに移すこと。複数の人たちが合同で遺骨を安置する合同墓(永代供養墓)に移してお弔いをするケースが多いようです。遺族が高齢になった、お墓が遠いなどの理由でお墓参りに行けないという場合でも、近所の合同墓に移せばお参りに行きやすくなりますし、長く法要をしてもらえます。

 

墓じまいには、お墓の撤去、遺骨の取り出し、お布施、離檀料、埋葬費、お布施、入檀料などがかかります。具体的な費用はケースバイケースのようですが、30万円〜300万円程度もかかる場合もあります。

残っていたら要注意のお金6:住まいのリフォーム

住まいのリフォームは、老朽化だけでははく、介護予防や子ども世帯との同居などをきっかけに考える人も多くいます。こちらも、費用は内容によってさまざまですが、階段に手すりをつける、トイレや浴室などをバリアフリー化するといったものであれば数十万円、エレベーターをつけるといった大掛かりなものになると200万円〜300万円はかかります。

退職翌年は住民税にも要注意

退職後に「高額な請求が来て驚いた」とよくいわれる税金に、住民税があります。住民税は、前年の所得をもとに金額が決まる「1年遅れ」の税金。したがって、定年退職した翌年には、現役時代の所得をもとにした住民税を支払う必要が出てきます。

 

たとえば、年収800万円だった人が支払う住民税は約45万円です(所得控除を基礎控除と社会保険料控除のみで試算した場合)。しかし、仮に再雇用で退職翌年の年収が半分の400万円になったとしても、約45万円を支払う必要があります。

 

本来、年収400万円の場合の住民税は約18万円。それなのに約45万円を支払うのは、相当な負担でしょう。それどころか、再雇用・再就職をせず、退職翌年にまったく収入がなかったとしても、退職翌年は約45万円を支払う必要があります。

 

老後の暮らしにもお金は何かとかかります。ご紹介した出費があると、老後の暮らしのためのお金が満足に貯められなくなってしまいます。ただ、これらの出費のほとんどは、前もってかかることがわかっているものでもあります。定年を迎える前に、これらの出費を見越してお金が貯められるようにすることが大切です。今のうちから、じっくり準備していきましょう。

頼藤 太希

頼藤 太希(よりふじ たいき)

経済ジャーナリスト
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し、現職。WEBメディア「Mocha」やYouTub「Money&YouTV」を運営。『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書累計100万部超。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。

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