国民年金と厚生年金はどう違う?もらえる金額、保障、しくみを比較
2022.05.20

国民年金と厚生年金はどう違う?
もらえる金額、保障、しくみを比較

お金の心配というと、現在のこと以上に老後を思い悩む人が多いようです。実際に「老後資金は年金だけでは足りない」「○○円貯めないと困りますよ」といった話もたくさんあります。しかし、ただ心配していても、何も始まりません。まずは自分がどんな年金の制度に加入していて、どんな年金を受け取れるのかを知るところから始めましょう。
今回は、公的年金である国民年金・厚生年金の違いから、年金でもらえる金額、年金の保障、年金のしくみまで、基礎から年金を解説していきます。

公的年金は国民年金と厚生年金の2種類

国の公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2種類にわけられます。

国民年金は、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人が、職業や収入などに関わらず加入が義務づけられている年金です。

国民年金の加入者のことを「被保険者」といいます。国民年金の被保険者は、職業によって、大きく3つの種類にわけられています。働き方や職業が変わると、加入する年金の種類が変わることがあります。自分がどの被保険者か知っておくと、加入もれを防ぐことができます。


○国民年金の被保険者の種類

  • 第1号被保険者…自営業の人、フリーター、学生、失業中の人、任意加入者など
  • 第2号被保険者…会社員・公務員など
  • 第3号被保険者…会社員・公務員などに扶養されている配偶者


なお、国民年金の年金を受け取るには、原則として国民年金保険料を10年間納める必要があります。納付済期間が10年に満たない60歳以上70歳未満の人や、年金を満額に近づけるために保険料を納めたい60歳以上65歳未満の人は、希望すれば国民年金に任意加入することができます。

一方の厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金です。厚生年金は、国民年金の上乗せとして加入することから、国民年金を1階部分、厚生年金を2階部分ということがあります。

厚生年金の保険料は、給料から一定の率が差し引かれています。厚生年金の保険料は、加入者(従業員など)と会社が半分ずつ負担します。会社員や公務員は、国民年金にプラスの保険料を納めているので、国民年金に上乗せして厚生年金も受け取ることができます。

【公的年金制度の違い】

  第1号被保険者 第2号被保険者 第3号被保険者
対象となる人 自営業・フリーランスなど 会社員・公務員 会社員・公務員に扶養されている配偶者
年齢 20歳以上60歳未満 原則70歳未満(下限なし) 20歳以上60歳未満
加入する年金制度 国民年金 国民年金と厚生年金 国民年金
保険料 一定額(年度ごとに変わる)
月1万6,610円(2021年度)
給与や賞与により異なる
保険料率は18.3%
勤務先と折半して納める
負担なし

筆者作成


国民年金・厚生年金の老齢年金はどのくらいもらえるの?

国民年金の加入者が老後に受け取る年金を老齢基礎年金といいます。老齢基礎年金は、原則として65歳から受け取ります。老齢基礎年金の額は、物価や賃金の変動に応じて変わり、年度ごとに決められます。2021年度は、40年加入した満額の人で月額6万5,075円、年額78万900円です。もし、何かの事情で加入期間が40年に満たないときは、減額されます。

厚生労働省の「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」 によれば、2019年末現在で、国民年金受給権者の平均年金月額は約5万6,000円 です。このうち、年金が国民年金だけという人は約5万1,000円となっています。平均の数字を見ると、老齢基礎年金を満額もらえていない人も相応にいることがわかります。

対して、厚生年金の加入者が老後に受け取る年金を老齢厚生年金といいます。会社員や公務員などの人は、老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せされた額を受け取れます。

老齢厚生年金の額は、厚生年金に加入している間の給料によって決まります。老齢厚生年金をもらっている人の平均年金月額は約14万6,000円 です。なおこの金額には、老齢基礎年金からもらう金額も含まれています。

老齢基礎年金も老齢厚生年金も、希望をすれば受け取り開始を早めたり遅らせたりできます。60歳から65歳までに受け取ることを年金の繰上げ受給、逆に66歳から70歳までに受け取ることを年金の繰下げ受給といいます。

繰上げ受給をすると、1カ月あたり0.5%、5年で最大30%受給額が減額されます(2022年4月からは1カ月あたり0.4%、5年で最大24%減額)。逆に繰下げ受給をすると、1カ月あたり0.7%、5年で最大42%受給額が減額されます(2022年4月からは繰下げ受給の上限が75歳となり、10年で最大84%増額)。

万一のときには障害年金や遺族年金ももらえる

年金は、原則65歳から受け取る老齢年金だけではありません。公的年金加入中に障害の状態になった人が受け取る「障害年金」や、亡くなった人が生活を支えていた遺族が受け取る「遺族年金」もあります。忘れがちですが、障害や遺族に対しても保障があるのは、公的年金の大きなメリットです。

年金制度は、「老齢給付」「障害給付」「遺族給付」の3本柱になっていて、私たちの生活を保障しています。ここでも加入している公的保険制度によって、受け取れる内容が違ってきます。

障害年金の種類と内容

公的年金の加入中に発生した病気やケガにより、障害の状態になったときに受け取れるのが障害年金です。障害年金は、その障害の程度によって、等級(障害等級)が定められています。障害等級は、1級、2級、3級があり、3級より程度が軽い障害手当金があります。

障害の原因になった病気やケガで初めて医師にかかった日を「初診日」といいます。初診日に国民年金に加入していれば障害基礎年金、厚生年金に加入していれば障害厚生年金や障害手当金の対象になります。

国民年金の第1号被保険者と第3号被保険者は、障害等級1級、2級の場合に障害基礎年金が受け取れます。

それに対し、第2号被保険者は、障害等級1級、2級の場合に障害基礎年金と障害厚生年金がもらえます。障害等級3級の場合には障害厚生年金が受け取れ、障害等級が3級よりやや軽い程度の場合には、障害手当金(一時金)がもらえます。障害厚生年金3級と障害手当金は、厚生年金にしかない給付です。

障害年金でもらえる金額は、障害基礎年金1級の場合は年額97万6,125円、2級の場合は年額78万900円。1級の年金額は、2級の1.25倍です。また、子がいる場合には加算があり、2人目までの加算額は1人につき年額22万4,700円、3人目以降は1人につき年額7万4,900円です(2021年度の場合 )。一方、障害厚生年金は保険料を納めた期間や額に応じて年金額が決まります。

遺族年金の種類と内容

遺族年金は、公的年金に加入中に亡くなった人や、加入していた人で条件を満たした人が亡くなったときに、遺族に対して支払われる年金です。継続的に受け取る年金と一時金があります。

自営業の人などの第1号被保険者が亡くなった場合には、残された人が「子のいる配偶者」か「子」の場合にだけ、国民年金の遺族基礎年金が受け取れます。

子のいる配偶者が受け取る場合、配偶者の基本額が78万900円、子ども1人目・2人目の加算額が各22万4,700円、3人目以降は各7万4,900円です(2021年度の場合 )。

その他、寡婦年金、死亡一時金があります。

寡婦年金は、婚姻期間が10年以上の妻が受け取れる年金です。受け取れる期間は、妻が60歳から65歳になるまでの5年間です。

死亡一時金は、死亡した人と生計を同じくしていた配偶者、子ども、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹のうちいずれかの人が受け取れます。保険料納付済月数に応じて支給額が決まります。なお、遺族基礎年金を受けられる遺族がいるときは、死亡一時金は支給されません。

第2号被保険者が亡くなった場合には、遺族厚生年金を受け取ることができます。遺族厚生年金の年金額は、保険料を納めた期間や額によって決まります。年金を受け取れる人には優先順位があり、配偶者、子、父母、孫、祖父母の順になっています。ただし、亡くなった人との関係性によって、受け取り開始の時期や年齢が変わります。

遺族が「子がいる妻」「子がいる55歳以上の夫」「子」のときは遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が受け取れます。また、40歳以上で子どものいない妻には、中高齢寡婦加算が追加されます。

まとめ

国民年金も、厚生年金も、自分で請求しないと受け取れません。ですから、自分の加入している公的年金の種類や年金の保険料の納付状況がどうなっているかを確認することが大切です。誕生日が近づくと届く「ねんきん定期便」をみると、これまでの加入状況がわかりますので、ぜひチェックしましょう。

池田 幸代

池田 幸代(いけだ さちよ)

株式会社ブリエ 代表取締役
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー