サラリーマンでも確定申告が必要な人・確定申告した方がいい人
2022.11.18

サラリーマンでも確定申告が必要な人・確定申告した方がいい人

確定申告、したことありますか? 個人事業主やフリーランスの方なら「毎年している」と答えるでしょう。それに対して、サラリーマンの方の多くは「したことない」と答えるのではないでしょうか。しかし、サラリーマンであっても、確定申告が必要な人や、確定申告をした方がいい人がいます。今回は、「確定申告とは?」の基本から、サラリーマンでも確定申告が必要な人・確定申告した方がいい人の条件を紹介します。

確定申告は正しい税額を確定させる手続き

確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までに得たすべての所得から所得税を計算して、税務署に申告・納税する手続きのことです。所得には、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得・雑所得の10種類があります。これらの所得にかかる税金が、所得税です。


個人事業主やフリーランスの方は、毎年確定申告が必要です。確定申告の期間は原則として例年2月16日から3月15日の間 (土日にあたる場合は翌営業日)。前年1年間から正確な納税額を計算して、税金を納付します。


一方で、サラリーマンは原則として確定申告をする必要はありません。なぜなら、勤務先が年末調整という手続きを行って、正しい税額を計算し、納税までしてくれるからです。年末調整については、以前の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。


では、「サラリーマンには年末調整があるから、確定申告は一切しなくてもいいのか」というと、そうではありません。サラリーマンの中には、確定申告が必要な人・確定申告した方がいい人がいるのです。「確定申告が必要な人」ならば、そもそも確定申告しなければいけません。また、「確定申告した方がいい人」は確定申告しなくてもいいのですが、確定申告することで税金が安くなるなどのメリットが得られます。ですから、ぜひ確定申告しましょう。

サラリーマンでも確定申告が必要な人はどんな人?

サラリーマンであっても、たとえば以下の人は確定申告をしなければなりません。

給与収入が2,000万円を超えている人

給与収入が2,000万円を超える場合には、そもそも会社で年末調整をすることができません。そのため、自分で確定申告をして所得税を納める必要があります。

1か所の会社から給与をもらっている人で、そのほかにも20万円を超える収入(給与所得、退職所得を除く)がある人

たとえば、給与の他に「不動産投資で家賃収入があった」「本やウェブの執筆で原稿料を受け取った」など、副業の収入が20万円を超えている場合には、確定申告をしなくてはなりません。

2か所以上の会社から給与をもらっている人

年末調整は、1か所でしかできないので、「複数のアルバイトを掛け持ちした」などして、2か所以上の会社から給与をもらっている場合には、確定申告をしなくてはなりません。ただし、1年間の給与の合計額が103万円以下の場合は確定申告をする必要はありません。

災害にあい、災害減免法による源泉徴収の猶予・還付を受けている人

災害によって住宅や家財が被害にあったときは、災害減免法により所得税が軽減・免除されます。この場合、年末調整が行われないので、確定申告が必要です。

確定申告をした方がいいのはどんな人?

サラリーマンであっても確定申告をした方がお得になる場合があります。多くは、確定申告することで、所得税の計算に用いる課税所得を差し引く「所得控除」や、税金を直接差し引く「税額控除」が適用されるため、税金を安くすることができます。

1年間にかかった医療費が10万円を超えた人(医療費控除)

自分や生計を一にする家族の医療費の合計が年間10万円を超えた場合は、医療費控除が利用できます。医療費控除は、年末調整で手続きできません。したがって、サラリーマンでも確定申告が必要です。


なお、医療費が10万円に満たない場合でも、医療費控除の特例「セルフメディケーション税制」が利用できる場合があります。セルフメディケーション税制は、健康診断や予防接種を受けている人が1年間に1万2,000円を超える所定の市販薬(スイッチOTC医薬品)を購入した場合に所得控除が受けられます。

一定の団体等に年間2,000円を超える寄付を行った人(ふるさと納税(寄附金控除))

ふるさと納税は、自分が選んだ自治体に寄付ができる制度。寄付をすると、寄付額に応じたお礼の品(返礼品)がもらえるだけでなく、2,000円を超える金額を所得税・住民税から控除できます。寄附金控除も、年末調整で手続きできないので、サラリーマンであっても、確定申告が必要です。


ただし、サラリーマンでふるさと納税の他に確定申告をする必要がなく、ふるさと納税の寄付先が5自治体以内ならば、「ワンストップ特例制度」を利用することで確定申告することなく控除が受けられます。

学生などのアルバイトで年収が103万円を超える人(勤労学生控除)

アルバイトの年収も、103万円を超えると所得税がかかります。しかし、高校・大学・専修学校・各種学校などに通う学生の場合、「合計所得金額が75万円以下」「給与所得以外の所得が10万円以下」といった条件を満たせば、27万円の勤労学生控除を受けることができます。


ただし、親の扶養に入っている方が勤労学生控除を利用する場合は、親の税金が増える可能性がある点に注意が必要です。勤労学生控除によって、確かに本人の所得税は年収130万円まで非課税になりますが、扶養する親が受ける扶養控除は、年収103万円を超えるとなくなってしまうのです。年収が103万円を超えそうな学生アルバイトの方は、事前に親に相談しましょう。

年の途中で退職し、年末までに再就職していない人

会社の年末調整は、毎年の年末時点(12月31日時点)に会社に在籍している方に対して行われます。年の途中で退職して再就職していなければ、会社で年末調整が行われないため、確定申告をしなくてはなりません。


1年間の給与が103万円以下の場合は確定申告不要ですが、退職前の給与から所得税が源泉徴収されている場合は、確定申告すると納めすぎになっている所得税が戻ってくるので、確定申告した方がいいでしょう。

年末調整のし忘れがあった人

勤め先で行う年末調整の際に「保険料控除証明書を出し忘れた」など、申告のし忘れがあった場合、確定申告を行えば控除が受けられます。

住宅ローンを借りて住宅を新築・取得・増改築した人(住宅借入金等特別控除)

住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)によって、所得税・住民税が安くできます。初年度は確定申告が必要。2年目以降は年末調整で手続きができます。なお、住宅ローン控除は所得税や住民税が直接安くなる「税額控除」なので、税額を大きく減らすことができます。

【確定申告が必要な人・確定申告した方がいい人まとめ】

(複数回答・%)

確定申告が必要な人 確定申告した方がいい人
・給与収入が2,000万円を超えている人
・1か所の会社から給与をもらっている人で、そのほかにも20万円を超える収入(給与所得、退職所得を除く)がある人
・2か所以上の会社から給与をもらっている人
・災害にあい、災害減免法による源泉徴収の猶予・還付を受けている人
・1年間にかかった医療費が10万円を超えた人(医療費控除)
・一定の団体等に年間2,000円を超える寄付を行った人
 (ふるさと納税(寄附金控除))
・学生などのアルバイトで年収が103万円を超える人(勤労学生控除)
・年の途中で退職し、年末までに再就職していない人
・年末調整のし忘れがあった人
・住宅ローンを借りて住宅を新築・取得・増改築した人
 (住宅借入金等特別控除)

(株)Money&You作成

確定申告を忘れていても…5年以内であればまだ間に合う

確定申告の期間を過ぎてから「確定申告し忘れた」と気づいた場合でも、5年以内であれば「還付申告」を行うことで、納めすぎになっている税金が還付されます。さらに、「確定申告(還付申告)が間違っていた」という場合には、「所得税の更正の請求書」という書類を税務署に提出すれば、税金が取り戻せます。


もし過去5年以内に「確定申告した方がいいのにしていなかった」という心当たりがあるならば、確認のうえ手続きしましょう。税金が取り戻せる可能性があります。

まとめ

サラリーマンであっても、確定申告をしなくてはならない人・確定申告した方がお得な人がいます。特に「確定申告した方がお得な人」に該当するのであれば、確定申告することで税金が安くなったり、納めすぎた税金が戻ってきたりする可能性があります。ぜひ確定申告に取り組んでみてくださいね。

高山 一恵

高山 一恵(たかやま かずえ)

Money&You 取締役/ファイナンシャルプランナー
慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設⽴。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を⾏ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。著書は『はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂)、『税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)など多数。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。

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