住宅ローン控除(住宅ローン減税)で税金はいくら戻ってくる?
2022.08.19

住宅ローン控除(住宅ローン減税)で税金はいくら戻ってくる?

住宅ローン控除は、住宅ローンを借りて家を買うと節税ができるお得な制度です。住宅ローンの返済は家計の大きな割合を占めるもの。住宅ローン控除はその負担を減らすために役立つ制度です。また、2022年(令和4年)からは、住宅ローン控除の制度が変更になっています。そこで今回は、住宅ローン控除のしくみや住宅ローン控除を受けるための条件を紹介していきます。

住宅ローンを借りて家を住宅ローン控除

住宅ローン控除は、住宅ローンを借りて住宅を購入・リフォームした人が節税できる制度です。住宅ローン減税とも呼ばれます。なお正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。


住宅ローン控除を利用すると、所定の期間にわたって所得税や住民税を差し引くことができるため、税金の負担が軽くなります。


住宅は、いうまでもなく高い買い物です。住宅ローン控除によって、その高い買い物の負担を少しでも軽減して住宅を買いやすくし、多くの人が住宅を手に入れられるようにしているのです。

2022年に改正された住宅ローン控除

住宅ローン控除で受けられる減税の内容は、たびたび改正が行われています。2022年にも大きな改正が行われました。2021年までの住宅ローン控除改正前と2022年からの住宅ローン控除改正後の減税内容をくらべたのが、次の図です。

【住宅ローン控除の概要】

  改正前 改正前(特例) 改正後
入居時期 2021年12月末まで 2022年12月末まで
2021年9月末(新築)・
11月末(その他)までに
契約している場合に適用
2025年12月末まで
控除期間 10年間 13年間 13年間(新築※1
10年間(中古)
控除率 住宅ローンの年末残高の1% 住宅ローンの年末残高の0.7%
最大
控除額※2
年40万円・10年
合計400万円
(4,000万円×1%×10年)
【1年目~10年目】
400万円
【11年目~13年目】
80 万円
年21万円・13年
合計273万円
(3,000万円×0.7%×13年)
住民税の
控除上限額
前年度の課税所得×7%
[最高13万6,500円]
前年度の課税所得×5%
[最高9万7,500円]
所得制限 合計所得金額
3,000万円以下
合計所得金額
2,000万円以下
床面積 40㎡以上
40㎡以上50㎡未満の場合、合計所得金額1,000万円以下
40㎡以上
40㎡以上50㎡未満の場合、
合計所得金額1,000万円以下※3

※1 省エネ住宅や認定住宅ではない場合、2024年・2025年は10年間
※2 対象となるローン残高は、省エネ住宅は4,000万円または4,500万円、認定住宅は5,000万円
※3 2023年までに建築確認をした住宅が対象

(株)Money&You作成


改正前の住宅ローン控除では、毎年の住宅ローン残高(原則最大4,000万円)の1%にあたる金額を10年間にわたって所得税から直接差し引くことができました。また、所得税で控除しきれない分は、住民税からも控除することができます(前年度課税所得×7%、最高13万6,500円まで)。一般住宅の場合、10年間で最大400万円(年間40万円×10年間)税金を減らすことができたのです。


また、2019年10月の消費税引き上げによって導入された住宅ローン控除の特例では、控除期間が13年に延長。10年目までの最大400万円に加え、11〜13年目の3年間で最大80万円まで、合計480万円まで税金を減らすことができました。


一方、2022年からの改正後の住宅ローン控除では、新築の場合原則最大13年間にわたって住宅ローン控除が受けられるようになりましたが、毎年の住宅ローン残高(原則最大3,000万円)から差し引ける控除率が1%から0.7%に縮小しました。また、住民税からの控除も「前年度課税所得×5%、最高9万7,500円まで」に減少しています。


そのうえ、購入する住宅の種類・新築か中古かによって、控除が適用されるローン残高(借入限度額)や控除期間、最大控除額が変わります。


【住宅の種類と最大控除額】


〇2022年〜2023年

  住宅の種類 借入限度額 控除率 控除期間 最大控除額
年間 期間合計
新築住宅 長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円 0.7% 13年 35万円 455万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 31.5万円 409.5万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 28万円 364万円
その他の住宅 3,000万円 21万円 273万円
既存住宅 長期優良住宅・低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円 10年 21万円 210万円
その他の住宅 2,000万円 14万円 140万円

〇2024年〜2025年

  住宅の種類 借入限度額 控除率 控除期間 最大控除額
年間 期間合計
新築住宅 長期優良住宅・低炭素住宅 4,500万円 0.7% 13年 31.5万円 409.5万円
ZEH水準省エネ住宅 3,500万円 24.5万円 318.5万円
省エネ基準適合住宅 3,000万円 28万円 364万円
その他の住宅 2,000万円 14万円 140万円
既存住宅 長期優良住宅・低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円 10年 21万円 210万円
その他の住宅 2,000万円 14万円 140万円

※2023年までに建築確認をした住宅が対象

(株)Money&You作成


より高い性能の住宅を購入すれば、その分たくさん控除が受けられます。

2022年〜2023年と2024年〜2025年では、住宅ローン控除の最大控除額が減ってしまいます。また2024年〜2025年は、そのほかの住宅を新築で購入した場合、住宅ローン控除が受けられなくなる(2023年までに建築確認をした住宅以外は住宅ローン控除が受けられない)点も押さえておきましょう。

住宅ローン控除を受けるための条件は

住宅ローン控除を受けるためには、次の条件を満たす必要があります。


  • 住宅ローンの返済期間が10年以上あること

新たに借り入れた住宅ローンの返済期間が10年未満の場合には住宅ローン控除は利用できません。また、住宅ローンを繰り上げ返済して、残りの返済期間が10年未満になった場合も住宅ローン控除は適用されなくなります。


  • 住宅取得後、6カ月以内に自分で居住すること

住宅ローン控除は、自分の住居を購入する人向けの制度です。不動産投資など、自分で住まない住居を住宅ローンで購入しても、住宅ローン控除は適用されません。ただし、転勤などで一時的に住んでおらず家族が住んでいる、といった場合は、住宅ローン控除を利用できます。


  • 住居の床面積が40㎡以上あること

住宅ローン控除が利用できる住居の床面積は40㎡以上となっています。ただし、40㎡以上50㎡未満の住宅の場合、2023年までに建築確認をした住宅のみが対象。以後は「50㎡以上」が住宅ローン控除を利用する条件となります。また、住居の床面積が40㎡以上50㎡の場合は、後述する合計所得金額の基準が変わります。


  • 居住用割合が1/2以上あること

自営業などで、住居に店舗や事務所などがある場合は、居住用の部分の床面積の割合が1/2以上を占めている必要があります。


  • その年の合計所得金額が2,000万円以下であること

住宅ローン控除が受けられるのは、年間の合計所得金額が2,000万円以下の方のみ。2,000万円を超える場合は住宅ローン控除を受けられません。また、住居の床面積が40㎡以上50㎡の場合は、年間の合計所得金額が1,000万円以下の方となります。つまり、一部の高所得者は、住宅ローン控除の対象外となります。

住宅ローン控除で税金はいくら戻ってくる?

では、住宅ローン控除で税金はいくら戻ってくるのでしょうか。具体例をひとつ紹介します。


(例)年収500万円(所得税14万円・住民税24万円)の人が2022年に住宅ローンを利用して新築の省エネ基準適合住宅を購入。年末時点の住宅ローン残高が3,000万円の場合


住宅ローン控除では、年末時点の住宅ローン残高の0.7%にあたる金額を所得税から控除できます。2022年に新築の省エネ基準適合住宅を購入した場合、上の表のとおり、最大で借入限度額4,000万円の0.7%、年間28万円まで税金が控除できます。この例では、年末時点の住宅ローン残高は3,000万円ですので、3,000万円×0.7%=21万円が所得税から控除できます。


しかし、この人の所得税は14万円です。本人が納める金額以上に所得税を控除することはできないので、控除できる所得税は14万円となります。


ただ、住宅ローン控除では、所得税で控除しきれない分は、住民税からも控除することができます。住民税からは「前年度課税所得×5%、最高9万7,500円」まで差し引けますので、この例では、控除できる住民税は7万円です。


したがって、1年目の住宅ローン控除で戻ってくる金額は合計21万円となります。厳密には、所得税が還付され、翌年の住民税が安くなります。


なお、住宅ローン控除を利用するには、初年度は会社員・公務員であっても確定申告が必要です。2年目以降は、会社員・公務員の場合は年末調整でも手続きができます。


万が一「住宅ローン控除の手続きをしていなかった」という場合も慌てずに。翌年1月1日から5年以内であれば「還付申告」を行うことで払いすぎている税金が戻ってきますので、税務署に確認して手続きをしましょう。

まとめ

住宅ローン控除のしくみ、住宅ローン控除の対象になる住宅、そして住宅ローン控除によって戻ってくる金額について解説してきました。


2022年の住宅ローン控除改正によって控除率が1%から0.7%に減ってしまったことで、一見損したように見えるかもしれません。しかし、必ずしもすべての人の控除額が減るわけではありません。確かに、最大額まで控除を受けられるような方は控除額が減ってしまいますが、人によってはよりたくさん控除できるようになるケースもあります。なにより、住宅ローン控除は直接税額が減らせる有利な制度ですので、ぜひ活用しましょう。

頼藤 太希

頼藤 太希(よりふじ たいき)

経済ジャーナリスト
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し、現職。WEBメディア「Mocha」やYouTub「Money&YouTV」を運営。『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書累計100万部超。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。

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