
キャッシュレス決済の選び方 ポイントをお得に貯めながら使う方法をプロが伝授
<この記事を読んでわかること>
・キャッシュレス決済を使うと、現金決済では得られないポイント還元や割引が受けられるうえ、現金のやり取りの手間をなくすこともできる
・キャッシュレス決済の還元率を上げるには、ポイントの二重取り・三重取りができる方法を取り入れることが大切。利用するキャッシュレス決済を絞ったり、お得なタイミングに買い物をしたりすることでもポイントは貯めやすく、使いやすくなる
・キャッシュレス決済を選ぶ際に、自分の生活圏でお得になるかをチェックできる
キャッシュレス決済、みなさん使いこなしていますか?キャッシュレス決済はこの数年ですっかり普及し、スーパーやレストランなどで使っている様子も珍しくなくなりました。
読者の中には「まだ使ったことない」「私は現金派」という方もいるかもしれませんが、キャッシュレス決済はこれからもさらに普及していくと考えられますし、何より使わないと損!ぜひお得に使いこなしたいものです。
今回は、キャッシュレス決済のメリットとキャッシュレス決済でポイントを貯めるコツ、自分にあったキャッシュレス決済を選ぶコツをご紹介します。
そもそもキャッシュレス決済とは?
キャッシュレス決済とは、硬貨や紙幣といった現金を使わずにお金を支払う方法。具体的には、クレジットカード、電子マネー、スマホ決済(QRコード決済)、デビットカードなどを使って買い物や支払いを行う方法です。
キャッシュレス決済には、次のようなメリットがあります。
買い物がお得になる
キャッシュレス決済を利用すると「◯円ごとに1ポイント」とポイントを貯めることができます。ポイントはお金と同じように使えますので、その分次回以降の買い物がお得になります。
また、キャッシュレス決済を使う人限定のクーポンや割引券などが利用できる場合も。現金で買い物をしたのでは得られない、キャッシュレス決済ならではのメリットです。
支出が把握できる
現金で買い物をした場合、レシートを確認して記録すれば支出が把握できますが、正直手間なもの。レシートをなくしたり、記録を忘れてしまったりすると、支出の把握が難しくなってしまいます。
その点キャッシュレス決済は、支出の把握がかんたんにできます。電子マネーやクレジットカードなら毎月の利用明細に使った日時と金額が記載されていますし、スマホ決済ならばアプリにある利用履歴からチェックができます。
ネットショッピングもしやすい
ネットショッピングでも銀行振込ができる場合もありますが、手間も時間もかかります。キャッシュレス決済が利用できれば、すぐに決済をすることができますし、ポイントが貯められるケースもよくあります。
現金の手間を減らせる
「キャッシュレス決済があるから財布はもういらない」とまではならないでしょうが、ちょっとした買い物であれば、キャッシュレス決済のカードやスマホだけで事足りるでしょう。現金を持ち歩く手間や、財布をなくしてしまうといったトラブルも減らせます。
また、会計時にも現金を数えたりお釣りをもらったりしなくていいので、時間短縮にもつながります。最近は、キャッシュレス決済用のセルフレジも見かけるようになりました。うまく使えば、有人のレジに並ぶより早く買い物が済むでしょう。
キャッシュレス決済でポイントを貯める5つのコツ
キャッシュレス決済はただ使うだけでも現金決済よりメリットが多いのですが、できることならよりお得にしたいですよね。そこで、キャッシュレス決済でポイントを貯めるコツを5つ紹介します。
①使うキャッシュレス決済を絞る
キャッシュレス決済は本当にいろいろありますね。なかには「この店ではこれがお得」「あの店ではあれだと割引がある」などと、お店ごとに有利なキャッシュレス決済が違う場合があります。
しかし、すべてのお店に合わせてキャッシュレス決済を用意して使い分けるのは大変ですし、貯まるポイントも各キャッシュレス決済に分散されて使いにくくなります。お金の流れも複雑になってしまい、支出が把握しにくくなってしまいます。
ですから、使うキャッシュレス決済は本当によく使うものに絞りましょう。
おすすめは「クレジットカード2枚、電子マネー1枚、スマホ決済2つ」の計5つ。クレジットカードは年会費が無料でポイント還元率が高いものを優先し、国際プランドも分けておくと使える幅が広がります。電子マネーは公共交通機関を使うなら交通系電子マネー、そうでない場合はコンビニやスーパーなどで使える流通系電子マネーがよいでしょう。スマホ決済は利用できる店舗数が多いものを選ぶとポイントも貯まりやすくなります。
キャッシュレス決済ごとに用途と予算を決めておけば、使いすぎにも気づきやすくなります。クレジットカードなどには、使用したタイミングでメールが届く機能もあるので、設定しておくと使いすぎの防止にもつながります。
また、キャッシュレス決済へのチャージ口座・引き落とし口座をひとつにまとめておけば、支出の全体像も把握しやすくなります。
②クレカで固定費を支払う
電気、ガス、水道などの公共料金や家賃、新聞代、スマホ代、保険料などもクレジットカードで支払うことできます。これらの固定費は、毎月必ず支払う費用で、それなりにまとまった金額になるので、設定しておけばそれだけでポイントも相応に貯められます。
たとえば、イオン銀行のクレジットカード「イオンカードセレクト」の場合、公共料金を支払うことで税込200円ごとに1WAON POINTが貯められます。
ただし、なかには「公共料金の支払いはポイント還元なし(ポイント還元率がダウン)」というクレジットカードもあるので要注意。通常の買い物と同じ還元率で支払えるクレジットカードかを確認しましょう。
③ポイントの二重取り・三重取りを狙う
キャッシュレス決済で買い物するときに意識したいのが、1回の買い物でポイントを二重取り・三重取りすること。多くのキャッシュレス決済では、複数の決済を組み合わせることでポイントが二重・三重に貯められます。
たとえば、次のようなイメージです。
・電子マネー・スマホ決済の支払い方法にクレジットカードを指定
→(1)電子マネー・スマホ決済のポイント、(2)クレジットカードのポイントの二重取り
・クレジットカードでの支払いのときにポイントカードを提示
→(1)クレジットカードのポイント、(2)ポイントカードのポイントの二重取り
・電子マネーやスマホ決済の支払い方法にクレジットカードを指定し、ポイントカードを提示
→(1)スマホ決済のポイント、(2)クレジットカードのポイント、(3)ポイントカードのポイントの三重取り
イオンカードセレクトには「電子マネーWAON」の機能もついており、イオンカードセレクトから電子マネーWAONにオートチャージできます。
イオンカードセレクトでオートチャージすると、チャージ金額200円ごとに1WAONポイント(電子マネーWAONポイント)がもらえます。そして、チャージしたお金で買い物をすると200円(税込)ごとに1WAONポイントが受け取れます。つまり、イオンカードセレクトの場合はオートチャージを設定するだけでポイントの二重取りができます。
さらに、対象のWAON POINT加盟店で買い物をした場合は200円(税込)ごとに2WAON POINTがもらえるので、実質的にポイントの三重取りが可能になります。
※「WAON POINT」はWAON POINT加盟店で支払いをしたときに貯まるポイント、「WAON ポイント」(電子マネーWAONポイント)はWAON POINT加盟店以外で電子マネーWAONを使って支払いをしたときに貯まるポイントです。
ただし、二重取り・三重取りができるキャッシュレス決済の組み合わせが決まっている場合があります。また、キャッシュレス決済の種類によっては利用できないこともありますので、事前にご確認ください。
④ポイントが貯まるタイミング・割引になるタイミングを狙う
キャッシュレス決済によっては、指定の日にポイントが通常よりも貯まるサービスをしていたり、特定のタイミングで買い物をすると割引が受けられるサービスをしていたりします。こうしたタイミングで買い物をすれば、ポイントをより貯められます。
ただし、いくらお得なタイミングだからといって、普段買わないようなものまで無理して買うのは本末転倒です。どうしても使いすぎてしまいがちな人は、決済の前にお金をチャージして使う「プリペイド式」の電子マネーやスマホ決済を利用して、予算分だけをチャージして使うようにすれば、使い過ぎが防げます。
⑤ポイントを運用する
ポイントによっては、ポイントを運用によって増やすことができる「ポイント運用」「ポイント投資」のサービスもあります。
ポイント運用は選んだ投資先の値動きによってポイントが増減するという投資の擬似体験サービス。ポイント投資は現金での投資と同じように株や投資信託などの代金の一部(または全部)をポイントで購入できるサービスです。
まだ投資をしたことがないというのであれば、ポイント運用から始めてみてはいかがでしょうか。ポイント運用であれば、もしも値下がりしたとしても減るのはポイントだけで、自分のお金は減りません。証券口座の開設も必要ないので、手軽に投資の体験ができます。
自分にあったキャッシュレス決済を選ぶ3つのポイント
自分にあったキャッシュレス決済を選ぶときには、次の3つのポイントを確認しましょう。
①使える店が多いかどうか
どのキャッシュレス決済が使えるかは、エリアごと・店舗ごとによって異なります。使える店が多いほど、単純に利便性は高まります。チェーン店はもちろん、個人経営の店などでも利用できると便利ですし、そのキャッシュレス決済のポイントに絞って貯めることができるようになります。
②生活圏で使えるか
使える店舗数が多くても、自分の生活圏で使える店が少ないのでは意味がありません。とくに前払いのキャッシュレス決済の場合、使える店が少ないと、チャージしたお金が使い切れずに残ってしまいます。だからといって無理に使うと、今度は無駄遣いになってしまう可能性もあります。よく行く店や、よく利用するサービスで使えるのか確認しましょう。
③普段から貯めているポイントと相性が良いか
自分が普段から貯めているポイントが貯まるキャッシュレス決済を選ぶと、ポイントがより貯めやすくなります。キャッシュレス決済のなかには、複数のサービスを一緒に利用したり、一定額以上利用したりすることでさらに還元率がアップするものや、サービスがよりお得になったりするものもあるので、ぜひチェックしましょう。
日本では、キャッシュレス決済の利用がどんどん進んでいます。経済産業省によると、キャッシュレス決済比率(買い物の支払いに占めるキャッシュレス決済の割合)は年々増加しており、2024年で42.8%となっています。政府は将来的にキャッシュレス決済比率を80%まで引き上げたいと考えています。
今後、キャッシュレス決済が大部分を占める時代になることを考えると、これまでキャッシュレス決済を使ってこなかった人でもキャッシュレス決済に慣れておいたほうがよいですね。とても便利でお得ですし、新しいサービスは早く活用する人ほど得になるようにできているので、早く活用することをおすすめします。

頼藤 太希(よりふじ たいき)
マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に創業し現職。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、TBS「情報7daysニュースキャスター」などテレビ・ラジオ出演多数。主な著書に『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)など、著書累計180万部。YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。日本年金学会会員。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki